4M分析を行う順番
製品の品質を安定させたり、不具合の原因を分析するための手法として4M分析があります。
4M分析では、Man、Machine、Material、Methodの観点から要因分析を行います。
広く使われている分析手法ですが、その分析結果を効果的な対策に繋げられないこともあるのではないでしょうか。4M分析の順番を間違えてしまうと役に立たない対策を立案してしまうリスクが高まります。ここでは、4M分析のおすすめの順番を紹介します。
変化許容幅が狭いものから分析する
原則として、「変化の許容幅の狭いものから分析する」ことが大事です。変化の許容幅が狭ければ、対策を取ったあとの効果が分かりやすくなり、良い対策だったかどうかが明確になります。また、その結果、さらなる対策を取るか、その対策で標準化するかの判断をつけやすくなります。
そのため、要素の順番は、Machine→Material→Method→Manとするのがおすすめです。
4Mの要素
Machineは劣化・変化の速度が比較的緩やかです。一方で、ある構成品が故障すると直ちに稼働がおかしくなるため、普段との違いを把握するのが容易です。また、構成品故障と品質不良の因果関係も明確になりやすいので、なぜなぜ分析(5 whys)も効果的に適用できます。原因が明確になるため、対策も明確になります。
Materialはサプライヤ、または前工程からの材料または半製品の質の分析になります。品質確認がされたうえで工程に投入されますので、品質的に安定した状態にあるのが普通です。異常が出る場合は材料ロットを変えたり、サプライヤを変えたりすることで原因か否かを把握することができます。難点としては、原因であることが分かっても対策を取りづらいことが挙げられます。クレームを出しても、対策を取るかどうかはサプライヤ等の判断によってしまいます。
Methodは設備のプログラムなども含めますが、一般的には仕事のやり方を分析対象にします。例として、普段と違うやり方になってしまった、または、やり方に幅が大きすぎたために失敗につながってしまった、などがあります。Methodは承認手続きなどで複数の視点から検討するなどして、変動幅を狭くする維持する取り組みは行われますが、MachineまたはMaterialと比べると、変動幅は広めになります。
また、Methodでは、次に示すManとの混同がよく生じます。Methodは仕組み・ルールの点から分析する、と認識しておきましょう。
最後にManです。例としては、うっかり製品を落としてしまった、正しくないツールをセットして加工してしまったなどがあります。Manの変動幅は非常に広いので、対策の幅も非常に広くなり、そのため、対策の効果も薄くなってしまいがちです。
4M分析の例
作業者が正しくないツールを製品に取り付け、その結果製品を損傷させたとしましょう。このときの4M分析の例は次のようになります。〇への対策は効果的となりやすいですが、×への対策は現場を疲弊するだけになりがちです。
- 〇 正しくないツールを設備につけることができた。(Machine)
- 〇 正しくないツールが工場内に存在していた。(Material)
- 〇 正しくないツールが設備周辺に存在していた。(Material, Method)
- △ 正しくないツールであると識別しづらかった。(Method)
- △ どのツールが正しいのかが手順書に明記されていなかった。(Method)
- × 設備にツールを取り付けた後、ダブルチェックをしなかった。(Man, Method)
- × ツールを設備に取り付ける前に、よく確認しなかった。(Man)
- × どのツールを使っても同じと思っていた。(Man)
まとめ
4M分析はよく使われる分析手法ですが、順番を間違えると効果的な原因分析や対策立案につながらなくなります。それぞれの要素の「変動幅の狭さ」を意識して狭いものから順に分析を進めていきましょう。