なぜなぜ分析事例1

研削工程後の寸法検査で、誤って測定してしまい流出不適合となった事例のなぜなぜ分析です。

事象: 図面寸法68-0.004から-0.016のところ、要求下限から4〜11μm小さい。(67.977〜67.980mm)

なぜ1: マイクロメーターのゼロ点がズレていた

なぜ2: 基準棒を用いての原点合わせの際、シンブルを強く回しすぎたため、ラチェットの圧力が上がった状態でセットされた。

なぜ3: マイクロメーターは定期検査されていたため、セットした原点は正しいと判断した。

なぜ4: 精度の厳しい製品に対する考えが甘かった。

なぜ5: 社内指導が不十分だった。

(対策は割愛)

修正

事象に対し、なぜ1は直接的な原因が述べられており、適切な分析と考えます。付け加えるとすれば、同じ事象の再現の検証結果もあるとなお良いです。

しかしながら、なぜ2からは不適切な展開となっています。そのため対策立案が難しくなっています。

なぜ2の不適切な点

  • 1つの階層のなかで「…ため」でつないでいる。
  • シンブルを強く締めたことと原点がずれることの因果関係がない。

なぜ3以降の不適切な点

  • 前の段の事象の原因を述べていない。
  • 変化しがちな「認識」を原因としている。
  • 「認識」や「指導」が具体化されていない。

なぜ2で不適切な展開になっているので、その後もおかしくなっています。そもそも、シンブルを強く締めただけでは10μm以上もずれません。(もしずれていたらマイクロメーター自体が壊れているので、遡及調査が必要です。)他の要因として、基準棒のセットが不適切だった、原点以外で原点ボタンを押してしまった、基準棒と製品の温度が違った、などもあり、そちらのほうの影響が大きいと思われます。

また、なぜ3以降は、「なぜを5回繰り返す」を必須としている組織でよく見られる展開です。最終的に「教育指導が悪い」→「再教育する」という結論に持っていき、作業者を叱って終わるパターンが多いですが、叱られたからといって無意識の行動は直りません。

なぜの1〜2回で対策の取れる原因に辿り着いたら、分析はそこで終わりにして対策立案に移った方が効果的な対策になります。

分析展開の例

事象: 図面寸法68-0.004から-0.016のところ、要求下限から4〜11μm小さい。(67.977〜67.980mm)

なぜ1: マイクロメーターの原点が15μmずれた状態でセットし、測定した。

なぜ2: 基準棒と製品の温度が10度ずれていた。製品の材質はアルミニウム。

なぜ3: 製品は外気の当たる場所(気温35度)にあった。一方、マイクロメーターと基準棒は21度に温度管理された検査室にあった。マイクロメーターは検査室で原点合わせをし、現場に持っていった。

対策: 表面温度計で製品と基準棒の温度をそれぞれ測定し、差が2度以下になってから測定する。

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