手順書の改善の方向性
加工工程で、不適合をよく起こす作業員がいます。多いのが寸法不良です。
- 似た形状の製品だったので(製番が違うのは分かっていたが)同じ寸法を入力して削りすぎてしまった。
- 設定値の1の位と10の位の値を逆に入力して砥石を製品に突っ込ませてしまった。
- 機上で測定したときは規格値内だったが、降ろして測ったら規格値から外れていた
このような不適合がよく報告されます。
これへの対策として品質部門が「間違えないように、作業要領を手順書に詳しく書こう!」というプロジェクトを立ち上げました。
・・・が、ご想像の通り、うまく行きません。
組立と加工の手順書の違い
詳しく書くべき手順書と、ざっくりと書いても良い手順書があります。
一般的に、組立に使う手順書は詳しく書かれ、加工に使う手順書はざっくりと書かれることが多いように感じます。
これは、組立は手順の順番を1つ間違えるだけで製品が組み上がらなくなってしまいますが、加工は段取りなどの手順を間違えても、最終的に加工できる状態に持っていければ製品ができる、という違いから来ているように思われます。
対策がうまくいかない理由
上記の例で、手順書を詳しくするという対策はうまくいきませんでした。
理由は次のとおりです。
- 加工作業者は、手順書を読むのではなく、手順書に書かれた「値」を見ている。
- 加工作業者は、手順書に書かれた順番は気にしない。最終的なできばえだけを気にする。
- 手順書どおりにやらなくても、良品を加工できる。
効果的な対策
このような加工作業者に対しては、次のような対策が効果的です。
- 規格値および設定値を大きく書く。下線を引く。
- 見やすいフォントを使う。
- 十分なスペースを取って書く。余計なことは書かない。
- 手順書に書き込ませる。
当たり前すぎてつまらない対策ですが・・・いろいろやってみた結果、これに落ち着きました。
手順書のパラメータ表の横に設定した値を書き、規格値の横に加工後の測定値を書いているときは、不適合はほとんど発生しません。
まとめ
不適合を減らすために手順書を改善する、のは大事な取り組みですが、その取り組みの方向を間違えると効果を得られません。
現場作業と作業者の特性を把握して、対策を取るようにしましょう。