どのくらいまとめ買いすべきか?

年末や年度末は、売上を増やしたい営業担当者がまとめ買いおよびそれと合わせた値下げを提案してくることがよくあります。

将来使う資材であれば安く購入しておきたいですが、あまり多く買いすぎても物理的にジャマになりますし、財務的にはキャッシュフローの悪化を招きます。

どのくらいの量を発注するのかが適切かについては、経済的発注量の考え方で求められます。

経済的発注量は、発注費用と在庫維持費用が等しくなるような発注量とするものです。

発注量をQとして、発注費用は次の式で求められます。

\(\displaystyle 発注費用 = \frac{必要量}{Q} × 1回あたり発注費用\)

一方、在庫維持費用は次の式で与えられます。

\(\displaystyle 在庫維持費用 = \frac{Q}{2} × 1個あたり在庫維持費用\)

この2つ式を等しいものとしてまとめ、Qについて解くと次の式になります。

\(\displaystyle Q = \sqrt\frac{2×発注費用×必要量}{在庫維持費用}\)

この式では材料の価格は含まれていないように見えます。まとめ買いによる値引きはどのように考慮するのでしょうか?

実は、在庫維持費用に在庫価格が含まれています。在庫維持コストは、賃貸倉庫などの保管費用だけでなく、カネではなくモノで持っていることによる機会損失コストも含みます。

在庫による機会損失コストは、次の式で算出します。

\(機会損失コスト = 購入品単価 × 数量 × 資本コスト\)

ここで、資本コストは資本から得られるリターン率として捉えてください。株式投資をした時の利益率のようなものです。

例えば、定価10,000の材料100個を、特価8,000円で購入できる場合、資本コストを5%とすると、機会損失コストは40,000円になります。一方、値引きでの差額は200,000円なので、発注に要する費用が160,000円以下であればまとめ買いをしたほうがよいという判断になります。

逆に、まとめ買いでの発注費用が10,000円かかる場合で計算すると、購入費用は9,428円よりも下回っていれば値引き額が機会損失コストを上回ります。

※ ここでは保管費用は無視しているので、もし倉庫費用等が発生する場合には機会損失コストに加えて計算してください。

まとめ

経済的発注量と値引きの関係を説明しました。発注費用=在庫維持費用となる発注量が最適です。値引きのメリットと在庫費用の増加による在庫維持費用増加を考慮に入れて発注量を決定するようにしましょう。

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