原価管理 – 直接費・間接費

製品は、母材、部品などの材料を用いて、作業者が製造設備を利用して製造されます。これらの材料、作業者の作業料(労務費)、設備稼働にかかる費用は直接費と呼ばれます。一方、製造に直接かかわらない費用、例えば工場入り口ドアが壊れた場合の交換用ドア購入費、ドア修理での総務課員の労務費、修理用工具のレンタル代などは間接費として扱われます。

発生する費用を把握し、適正なものにしていく活動が原価管理です。価値ある製品を作り出し、提供するために、どのくらいの費用が、どういった活動で発生しているのかを把握していきます。

直接費は生産量と直接かかわるため、生産量×製品別単位原価で計算できます。多品種少量生産の場合、製品毎に単位原価があるので計算はやや煩雑になりがちですが、実際工数でなく設計工数を利用する、類似部品をまとめて同じ計算式として扱うなどして算出の負荷を減らすことができます。

一方、間接費はあらかじめ定めた配賦基準によって、部門ごとに分配されます。直接部門のみに費用を割り振る直接配賦法と、直接部門以外にも費用を割り振る相互配賦法、階梯式配賦法があります。

直接配賦法は簡便でよく使われますが、さきほどの入り口ドアの修理の場合、直接配賦法を用いると、ドアの発注も、修理も行っていない製造部門に費用が加算され、実際にドア修理を行った総務部門には費用が加算されない、ということになり、不公平感を生むおそれがあります。

かといって、総務部門に費用を発生させると、総務部門は収入(売上)がないのに費用だけ発生する状況になり、どの程度まで費用を使ってよいのかが分かりにくくなります。

この話をすると、決まって「じゃあどうすればよいの?」と聞かれます。それの回答としては、「どのような原価管理をしたいかによって、使い分けてください」になります。

製造部門が比較的大きく、製造部門で発生している費用が大きい場合は、製造部門のパフォーマンス次第で利益が変わってきやすいため、すべての費用を製造部門にまとめる直接配賦法がよいと思われます。一方、ファブレスの製造業や、さまざまな供給者を利用して製造するディレクション型の製造業では、直接配賦法はそもそも適用が難しくなります。

原価管理は、売上と費用との関係を適正にするためのものです。さまざまな計算手法があり、適切な基準を定めるのも難しいですが、目的を見失わないようにして要領を定め、見直していくようにしていきましょう。

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