外段取り化の効果が上がらない例
生産能力を向上させるには、内段取りを外段取り化していくことが効果的と言われています。外段取り化を進めるにあたって、このような外段取り化では効果が上がらないという例を3つ挙げます。外段取り化を効果的に行うために、このような対象ややり方は避けるようにしましょう。
生産設備の余力がありすぎる
製品に価値を付加する生産設備を可能な限り長時間動かすことが、内段取りを外段取り化する目的の1つです。ここには、「生産設備は常に動かすことができるが、段取り替えのために動かせられない時間がある」という前提があります。
この前提が成り立たない場合、外段取り化を進めてもほとんど効果がありません。例えば多台もち作業で、1人の作業者が1つの機械のセットアップを終えた時には別の機械が稼働を終え、停止しているような場合です。このような場合はそもそも内段取りのために機械を止めているわけではありませんので、あえて機側から離れて段取りをする意味はありません。
外段取りに時間がかかりすぎる
ほかに、「生産設備が動いている間に準備をすることで、生産設備を止める時間を短縮できる」という前提もあります。
そのため、(機械稼働時間 + 内段取り時間) < (外段取り時間) となってしまう場合も、外段取りする必要はありません。内段取りしたほうが速やかに生産設備を稼働させることができます。
外段取りが複雑、難しい
また、外段取り自体が難しいときには作業者への負荷が上がりますので、時間的には有利になるかもしれませんが、不良発生のリスクや作業時間のばらつきが大きくなりがちですので、生産管理全体としてはマイナスになります。
機械に簡単に組付けられるように、複雑な治具に製品をあらかじめセットしておかなければならない場合や、製品単体であれば手でセットできるのに、外段取りで治具組みしてしまうとクレーンなどで動かさなければならないような場合です。
効果的に行うためには
内段取りを外段取り化を効果的に行うためには、少なくとも上記の状態は避けなければなりません。そのための対策として、次が挙げられます。
- 1回のセットアップ後の機械の稼働時間を、外段取りに要する時間よりも長くする。
- 外段取りを簡単にできるようにする。
バッチサイズを大きくするのも効率化の1つですので、ある程度長い時間機械が動くようにしましょう。また、外段取りが簡単になることで、複数の作業者で外段取りを行うことも可能になり、特急作業への対応力を増すことにもつながります。