ISO9001審査と指摘事項とくだらない是正処置①
品質保証部門長として6年間勤務した経験から、「くだらない是正処置」の例と、その原因を述べます。
くだらない① 場合分けする
小手先の対策の例です。
8.2.3項に、組織は契約前に顧客要求事項のレビューを行い、受注可否を検討し、その記録を残す、という要求があります。
当然、完全な新規案件とリピート案件では検討の程度が異なります。
認定取得間もない企業の場合、顧客要求事項のレビューを営業担当者、営業主任、営業所長が行い、更に工場の開発、正技、製造、購買部門でレビューし、工場長の承認を得る、などとしがちです。
もちろん、こんな業務はムリです。確実にISO審査で不備を指摘されます。
その結果、「業務過大が原因。負荷を下げる」という原因分析をし、次のような是正処置を提出します。
- リピート注文のときは営業担当者だけでレビューする
- 類似注文のときは営業部門所長まででレビューする
- 新規注文のときは工場各部門もレビューに入る
これで業務負荷が軽くなり、結果、適切なレビューができるようになった・・・でしょうか?
まず、なりません。すぐに、営業担当の判断で類似注文をリピートとして、および営業所長の判断で新規注文を類似注文として処理してしまうでしょう。そしてそれを指摘されるのが目に見えます。
場合分けをする場合、MECEが基本です。逆に、MECEにできない仕事は場合分けを「明記してはならない」のです。
ではどのように書くか。正解は、普段の業務要領をそのまま書く、です。つまり、「営業担当者は引合案件の要求事項をレビューし、リスクを検討する。リスクの影響の判断がつきかねる場合は営業所長にレビューを依頼する。」などとします。(もちろん、この文の後に、レビューの結果をどこに、どのように保持するのかも記載します。)
あたりまえの内容、ですよね。審査員によってはもっと詳しく、と言ってくるかもしれません。そのときの対応は、次の記事で紹介します。