ISO9001審査と指摘事項とくだらない是正処置②

対策立案の基本-状況再現

ISO9001審査で不適合を指摘されたあとの是正対策の立案方法です。

基本の対策は、「普段の業務内容をそのまま書く」です。

しかしながら、それだと当たり前すぎる対策になったり、不適合があった状態と何が変わったのかが分かりづらかったりします。

そのようなときは、もう少し具体的にしてみます。具体的に考えるために、次に「指摘事項が起きた状況を再現」してみます。そこから見えてくる対策を具体例として書いていきます。

(もし再現できない場合は別の手段を取りますが、QMSの不適合で再現できないことは非常にレアなので、ここでは再現できたものとしておきます。)

事例

例えば、顧客要求事項のレビュー結果が残っていない、という不適合があったとします。そして状況再現の結果、「営業担当者は顧客から口頭で仕様を聞き、過去多数経験のある受注案件と同じだったので受注可能と判断し、契約書を提示し、受注した」という状況だったとします。

くだらない対策の例

ここで対策は?

  • くだらない対策① 顧客が口頭で提示した仕様の内容を『レビューシート』に記入し、契約書と一緒に保管する。
  • くだらない対策② 顧客が提示した仕様を契約書(またはその関連文書)に書き出し、そこにリスク評価も併記する
  • くだらない対策③ 類似(およびリスク)の程度を表すレベルを作り、契約書(またはその関連文書)にそのレベルを記入する。

これら対策をもし取れるのであれば、規格要求に適合した状態にはなります。

ただ、これらを維持できますか?

再現した状況を見てください。ある意味、「いつもの!」と言われて「いつもの」製品を提供しています。営業担当者は余計な手間はかけたくありません。上記の対策は営業担当者にムダな負荷をかけさせることにもなり、結果的に継続的改善を追求するという品質マネジメントシステムの目的に反した対策になってしまいます。

望ましい対策

このようなときも、対策は単純に考えます。つまり、低リスクの引合のとき、営業担当者が手間をかけることなく、顧客要求事項がレビューされ、記録も残っている状態にするにはどうするか?です。

一番良いのは「低リスク案件のときは、営業担当者はレビューしない」です。その代わりに、(品質マネジメント)システムにレビューさせます。

例えば、リスク評価項目として、仕様、納期、数量、価格を設定しておき、受注データベースにそれらを入力すると、自動的に受注可否判断が表示される、などです。

まとめ

是正対策の基本は、普段の要領をそのまま書く、です。そして、具体化なものが必要な場合は、状況を再現してみて、次にその状況が起きたときには特に手間をかけることなく動いても自然と適合した状態になるような対策とします。

それが品質マネジメントシステムの維持であり、ISO9001の求めるところでもあります。

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