ECRSの原則の別解釈
業務改善の取組み方として有名なものに「ECRSの原則」があります。
①Eliminate(排除)②Combine(結合)③Rearrange(入替え)④Simplify(単純化)の頭文字であり、①排除が最も効果が高い改善策になります。
ECRSのどこから始めるか
一方、「あなたの業務を改善してください」と言われたとき、何から始めるでしょうか?
①Eliminate(排除)が効果的だからと、いつも作っている会議資料を作るのをやめますか?または、②Combine(結合)が効果的だからと、日程計画の伝達を加工課と組立課にこれまで別々にしているのを、一度に集まって聞いてもらうようにしますか?
きっとそんなことはしないですね。やる前の他部門への根回しや、やった後の他部門からのクレーム対応で忙殺されるのが明白です。とても業務改善どころではありません。
つまり、効果が大きくなれる改善策ほど、そのためのコストも大きくなります。業務範囲がそもそも狭く知識経験も浅い一担当者が考える①Eliminate(排除)の対策ほど費用対効果の悪いものはありません。
④単純化から始める
ECRSの原則に逆行するように思われるかもしれませんが、業務改善の基本は④Simplify(単純化)です。効果はやや低めですが、自分ひとりだけでもできることが多く、コストは自分の時間だけ、な場合もよくあります。コストの大きさも把握しやすいので、費用対効果の良い対策としやすくなります。
業務改善を求められたときは、まずは、普段の作業を短時間で終わらせられるよう工夫しましょう。それは工具の置き方かもしれませんし、予定の組み方かもしれませんし、移動の経路かもしれません。自分の作業をより速く、確実に終わらせるための方法を、自分で調べて考えて実行します。
③入替えに進む
そうして作業を単純化し、短時間でできるようになったら、他の人の作業ももらって、それらを短時間で終わらせてしまいましょう。自分で言い出さなくても大丈夫です。あなたに作業をしてもらうのが速くて確実なので、作業依頼は周りから自然と回ってきます。
②結合、そして①排除へ
短時間で簡単にできる作業の幅が広がってくると、作業に共通したコツが分かってきます。また、重複している作業や、後工程に繋がらない作業があることも分かってきます。
このように、作業自体だけでなくその周辺知識も分かるようになる段階になって、ようやく②Combine(結合)や①Eliminate(排除)の対策を、高い費用対効果で取れるようになります。
まとめ
業務改善のときにECRSの原則に従ってEliminate(排除)から始めてしまうと十分な費用対効果を得られないことがよくあります。それは、まだ排除をできるほどの知識経験がないためです。
まずは下位のSimplify(単純化)から進めましょう。そうすると自然と作業の幅が広がり、知識経験も増えます。すると、だんだんとSimplify→Rearrange→Combine→Eliminateの順に作業改善・業務改善ができるようになってきます。