生産管理ソフトウェア導入時の注意点
今回は管理者向けの内容です。生産管理に関する大規模ソフトウェア(ERP、MESなど)導入時の注意事項です。
生産管理部門にいると、自社の生産管理に不満を持ちがちです。生産の進捗が分からない、資材の在庫がわからず発注量がいいかげんになり不良在庫がたまる、対応の悪い業者に現場が勝手に発注してしまう、などの状況が目につきます。
こんなとき、「生産管理ソフトウェアがあればきっとスムーズにいくのに・・・」と思うこともあるでしょう。
しかしながら、ただ生産管理ソフトウェアを導入するだけでは使いこなせません。過去の経験から、生産管理ソフトウェア導入で押さえるべき注意点を3つ紹介します。
エンジニアを自社・自部門で持つ
社内エンジニアを持っておくと、ソフトウェアの不具合発生時の対応、社内要領変更時のソフトウェア更新、新たな社内エンジニアの教育などを行わせることができ、効果的にソフトウェアを使えるようになります。
ソフトウェア導入時、ソフトウェアメーカーのエンジニアが支援してくれます。社内の要領を聞き取り、データモデルを作り、ユーザーインターフェースを作って入力要領の教育もしてくれます。
このときに、社内のメンバーがメーカーのエンジニアと一緒になってソフトウェアの導入を行うことが重要です。社内エンジニアはソフトウェア詳細設計を読み解けるレベルまでの知識技能を持てるようにしましょう。
また、この社内エンジニアは専任としましょう。生産管理部門と兼任、などとすると慣れないソフトウェア運用が後回しになり、誰も使わないまま数か月が過ぎてしまいます。
逆に言えば、社内エンジニアが理解できる程度の生産管理ソフトウェアを導入するようにしましょう。
エクセル管理をやめる
現在のすべての生産情報を生産管理ソフトウェアに入れることはできません。だからといって、エクセルでの台帳管理、記録管理を続けることはやめましょう。
生産管理ソフトウェアの運用で困るのは、生産管理ソフトウェア以外の情報で現場が動いてしまうことです。ソフトウェア上では材料が20ロットあるはずなのに、担当者のエクセルでは5ロットになっていて過剰発注してしまうなど、非効率な事態が生じてしまいます。
少々使いづらくても、組織全体での情報一元化のために必要なことと割り切って、生産管理ソフトウェアに情報を集めるようにしましょう。また、入力できる情報が少なくても生産管理に必要な情報はこれだけと考え、従来からのデータ取得要領を捨てることも必要となることがあります。
生産管理システム以外の情報伝達手段も持つ
判断の根拠となる情報は生産管理ソフトウェアのものを使いますが、一方でその情報の伝達には別のものを使ったほうが有効なことがあります。
例えば、不適合発生時の経緯、状況、原因、対策、確認および適用など、言語情報が多い場合には、端末の画面で見るよりも紙面で見たほうが分かりやすくなります。
また、図面などPDF化して生産管理ソフトウェアから閲覧できるものであっても、写しを製品に添付させ、加工した寸法等を直接記入させるほうが容易に運用できます。
在庫管理でも、使用頻度が低く、単価も安い品目では、ソフトウェアで数量管理するよりダブルビン方式などを使ってでつどつど補充したほうが簡単かつ効果的に管理できます。
過剰にペーパーレスを進めないようにしましょう。
まとめ
生産管理ソフトウェア導入時の注意点について述べました。
社内エンジニアを指定し、ソフトウェアを運用・保守し、教育できるようにしましょう。また、それができる程度のソフトウェアを選びましょう。
導入したあとは、複数の情報が混在するのを避けるため、従来からのエクセルの使用は止めるようにしましょう。
一方で、その情報の伝達にはアナログな方法も使って、現場メンバーが使いやすい形で伝達するようにしましょう。