生産スケジューリング – フォワード、バックワード
生産にあたり、その製品の加工で使う設備が使用されているときにはすぐに生産を始められません。また、設備の余力が十分にあるからと言って、1年先の納期の製品をいま完成させるのは在庫管理的に非効率です。ちょうどよいタイミングで生産を実施するための考え方として、フォワードスケジューリングとバックワードスケジューリングの考え方があります。
フォワードスケジューリングは前から生産計画を組んでいく方法です。早く受注したものから生産していくように組めるので、生産量が使えるリソースと比べて小さい場合、簡便な方法になります。計画の変更を少なくできるメリットがありますが、一方で、納期への意識が低くなりがちであり、現在の能力を超えた生産を指示したり、現場が受け入れたりするのがやや難しくなりがちです。また、納期と関係なく生産しますので、必然的に在庫を持つことになります。
バックワードスケジューリングは納期から逆算して組んでいく方法です。必要量を必要なときに生産しますので仕掛品在庫、完成品在庫をともに少なくでき、コスト的に有利になります。ただし、工程の遅れが納期の遅れにすぐつながってしまうというリスクが高く、また、短納期品があると急に生産数を増やさざるを得ないため、現場との調整業務の量も増えてしまいます。
これらどちらかの方法だけでは生産計画の立案、および運用は難しいので、両方を組み合わせて使います。
やり方としては、納期を顧客納期ではなく、工程納期として設定します。
フォワードスケジューリングのメリットは安定的に生産できること、デメリットは在庫が発生することでした。また、バックワードスケジューリングのメリットは在庫を少なくできること、デメリットは計画の変動が起きやすいことでした。
そこで、仕掛品在庫が発生しやすい工程、つまりボトルネック工程の作業日を工程納期として設定し、ボトルネック工程まではバックワードスケジューリングを行い、その後はフォワードスケジューリングで逐次生産していく方法を取ります。こうすることによって、仕掛品在庫を少なくし、かつ、もしボトルネック工程が遅れてしまっても後工程でフォローして顧客納期に間に合わせることができるようになります。
両方のスケジューリング技法をうまく使って、効率的な生産計画を作っていきましょう。