標準時間の取得と見直し方法
標準時間とは、標準的な作業者が、標準的な手順で作業を行ったときにかかる時間を指します。「工数」も似た用語として使われます。
標準時間の計算式
標準時間の計算式は次のとおりです。
標準時間 = 正味時間 × (1 + 余裕率)
ここで、正味時間は実際に作業をする時間、(1 + 余裕率)は作業時間にばらつきを生じさせる事柄への緩衝のための時間です。
標準時間(正味時間)取得方法
正味時間を得るための方法は、直接時間を測る方法と、作業内容から試算する方法があります。
多品種少量生産の場合は、製品それぞれへの作業時間を測るのは大変なので、作業内容から試算する方法がよく使われるようです。ただ、最近では製造指図書を機側の指定のボックスに入れると作業対象、工程、開始時刻(出したときに終了時刻)を取得してくれるシステムなどもあり、直接時間を測定する方法も使いやすくなってきています。
直接取得した正味時間の取扱い
直接取得した正味時間には、当然ながらばらつきがあります。平均値などの特性値を算出する前に、まずはばらつきの形状を確認しましょう。
ヒストグラムを描いたとき、山が複数ある場合は、技量の異なる作業者がいるか、作業効率が異なる設備がある可能性があります。このようなときはレーティング係数などで補正し、山の形状をまとめるようにします。
山が片側に伸びている場合は、不時停止やツール捜索などのムダが頻繁に発生している可能性があります。なだらかに伸びているほどムダの種類や発生頻度が高いことを示しています。
山が断崖になっている場合は、標準時間以下で入力させない指示がなされている可能性があります。標準時間遵守率をKPIにしたり、考課に反映させたりする場合に見られがちです。
まとめ
生産計画を作るうえで、標準時間は重要なもので、適宜見直しが必要です。直接時間を取得できる場合には、見直しの際に数値だけを見るのではなく、時間データの分布も確認しましょう。標準時間の修正だけでなく、現場の改善の案件出しにも使えます。