作業実績データの活用方法
生産管理部門が作った計画を元に、現場は製品加工・組立を進めていきます。少し前までは現場見回りなどで進捗を確認することもありましたが、最近では安価で使いやすいツールが増えてきたこともあり、分析しやすい作業実績データとして入手しやすくなりました。
作業実績は、一部のトレーサビリティの要求がある製品を除き、取得や保管の義務はありません。しかしながら、生産管理をよりよいものにしていくためには必須のものです。
作業実績データの使い方として、3つ紹介します。
進捗管理
作成した生産計画との差異を確認するために使います。特に遅れが認められる場合にはリソース(時間、人員、設備、予算)を投入し、早めに回復させるようにしましょう。
標準時間の見直し
生産計画を立てる際の基礎資料となる標準時間表などの見直しのためにも使えます。蓄積された作業実績データは、顕著な遅れ進みがない場合でも標準時間とのずれをはっきりと認識させてくれますので、多品種の製品の標準時間の見直しに効果的に使えます。
注意事項として、作業者は作業実績データに余裕時間を含めずに入力・報告することがあります。その場合、標準時間よりもかなり短い時間として算出されることがありますので、余裕時間係数を掛けることも考慮しましょう。
また、作業実績データの分布はロングテールになりがちです。平均を使うよりは中央値や四分位数を使ったほうが納得できる数値になります。
現場作業者とのコミュニケーション
現場作業者と一緒に作業実績データを見て、困っていることを共有することもできます。
この前、ベテラン社員が製品マスキングなどの前処理作業を勤務時間の23%も使って行っていることがありました。ベテラン社員がそのような簡単な作業をするのはもったいないのでは?と聞いてみたところ、「製品ごとにマスキング要領が異なる。自動化を検討したが費用対効果が出ない。そのため、若手は早く覚えられて成果が見えやすい機械加工に当て、自分のような古株が覚えづらくて地味な作業をしている。」とのことでした。
簡単な作業のように見えていましたが、それが他社と差別化できる作業だったのです。
データを見ながら、気になった点を作業者と確認していくと、データ分析だけではわからなかった現状が見えてくるようになります。
まとめ
作業実績データは使ってこそ意味のあるものです。生産管理部門では、データの取得方法、読取・解釈方法だけでなく、その使い方も確立させておくようにしましょう。